遺族厚生年金の所得制限が撤廃され、年収850万円超の共働き世帯も対象になります
遺族厚生年金の所得制限が撤廃され、年収850万円超の共働き世帯も対象になります|2028年改正の要点と手取りの注意点
2028年4月施行の年金改正で、遺族厚生年金の所得制限が撤廃され、年収850万円超の共働き世帯も対象になります。60歳未満の男性の新規支給、原則5年の有期給付、継続給付の収入基準を厚生労働省資料と国税庁統計から整理し、年収と手取りの違いも解説します。
相場の要点: 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」では1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は全体460万円・男性569万円・女性316万円で、遺族厚生年金の収入基準850万円は平均を大きく上回る水準です。
2028年4月、遺族厚生年金の所得制限が撤廃されます
2025年6月13日に成立した年金制度改正法により、遺族厚生年金の見直しが行われます。施行は2028年4月(令和10年4月1日)予定です。厚生労働省の資料では、現行の「死亡者との生計維持関係の確認に用いる収入基準(850万円)」が撤廃され、遺族厚生年金の所得制限が撤廃され、年収850万円超の共働き世帯も対象になります。
主な変更点
- 60歳未満の男性も新たに支給対象(現行は厚生年金保険法第59条第1項ただし書により、妻以外の者は55歳以上に限られ、54歳以下の夫には支給されません)
- 18歳年度末までのこどもがいない20〜50代の配偶者は原則5年の有期給付
- 有期給付には加算が上乗せされ、現在の遺族厚生年金額の約1.3倍
- 5年終了後も、障害状態にある方や収入が十分でない方は継続給付
- 死亡分割の新設(亡き配偶者の厚生年金記録を自身の年金に分割)
新たに対象となるのは、こどものいない2028年度末時点で40歳未満の女性(30代女性は推計で年間約250人)と、こどものいない60歳未満の男性(推計で年間約1万6千人)です。一方、既に受給している方、60歳以降に受給権が発生する方、こどもを養育する間の給付内容、2028年度に40歳以上になる女性は今回の影響を受けません。
手取りとの違いに注意
混同しやすいのが「年収」と「手取り」です。850万円は税・社会保険料の控除前の収入を前提とした基準であり、手取り額ではありません。同じく継続給付も「就労収入が月額約10万円(年間122万円、2025年度税制改正を反映した地方税所得ベースでは132万円見込み)以下で全額支給」と月額ベースで示され、収入が増えるにつれて調整され、概ね月額20〜30万円を超えると全額支給停止とされています。寡婦に該当する場合は年間204万円程度です。
大和総研の是枝俊悟主任研究員の試算では、扶養家族がいない場合、妻の給与年収が428万円以上で継続給付がなくなる一方、夫は所得計算の条件が異なり年収358万円以上でなくなるとされます。男女で線が違う点も押さえておきましょう。
相場感をどう見るか
国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は全体460万円、男性569万円、女性316万円です。850万円は平均を大きく上回る水準だと分かります。
自分の年収の位置を確かめたいときは給与データを、制度と給与の基礎知識は記事一覧をご活用ください。給料インデックスでは、公開統計をもとに年収・月給の参考値を整理しています。なお、掲載数値は公開統計の参考値であり、企業・職種・地域により実額は異なります。
よくある質問
年収850万円を超えている共働き世帯でも遺族厚生年金を受け取れますか?
2028年4月施行予定の改正で、死亡者との生計維持関係の確認に用いる収入基準(850万円)が撤廃されるため、遺族厚生年金の所得制限が撤廃され、年収850万円超の共働き世帯も対象になります。ただし受給には加入記録や生計維持関係などの要件があり、個別の可否は日本年金機構や年金事務所で確認してください。
「原則5年で打ち切り」と聞きましたが、その後はどうなりますか?
18歳年度末までのこどもがいない20〜50代の配偶者は原則5年の有期給付となりますが、5年終了後も障害状態にある方や収入が十分でない方は継続給付として増額された遺族厚生年金を受け取れます。単身の場合、就労収入が月額約10万円以下なら全額支給、収入が増えるにつれて調整され、概ね月額20〜30万円を超えると全額支給停止とされています。
手取り年収で850万円を判断するのですか?
いいえ。公表資料で示されている850万円は収入(税・社会保険料の控除前)を前提とした基準で、手取り額ではありません。継続給付の判定も「就労収入」の月額で示されており、年収・月給・手取りはそれぞれ別の数字です。同じ金額でも手取りは額面より少なくなるため、制度の基準を確認するときは年収ベースで見るようにしてください。
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